以前まで長らくパスポートセンターの窓口で手続きする必要がありましたが、2023年3月から自宅にいながらパスポートのオンライン申請ができるようになりました。
オンライン申請ができるのは「パスポートの更新手続き(切替)」のみですが、オンライン申請を使えば、わざわざ窓口まで行き、面倒な手続きや待ち時間を避けることができます。
また、オンライン申請なら24時間いつでも申請できるので、忙しい人には特におすすめ。
そこで、本記事ではまだ始まったばかりのオンライン申請の条件やオンライン申請のメリット・デメリットや、手続きの流れについて解説します。
手軽にパスポートを申請する方法を知りたいという人は参考にしてください。
パスポートのオンライン申請の対象と開始時期
はじめにパスポートのオンライン申請の対象者・対象の手続きや開始時期について紹介します。
オンライン申請ができる対象は?
パスポートのオンライン申請ができる人は、すでにパスポートを持っていて、なおかつ、以下の2つの条件のいずれかに当てはまる場合のみ可能です。
10年間パスポートでも5年パスポートでも関係ありません。
- パスポートの残存有効期間が1年未満になった場合
- パスポートの査証欄の余白が見開き3ページ以下になった場合
それとは反対に、
- パスポートの新規発給
- パスポートの再発行(すでに失効したり紛失した場合等)
- パスポートの記載事項変更(戸籍上の氏名・本籍地にあった場合等)
などは、これまで同様にパスポートセンター窓口での申請が必要です。
ただし以下の16府県でパスポートの新規発給する場合に関しては、オンライン申請後に戸籍謄本を郵送(簡易書留)することによって、窓口に行くのは受け取りの際だけでOKです(2023年3月時点)。
東北 | 青森、宮城 |
---|---|
関東 | 茨城、埼玉、千葉 |
中部 | 富山 |
関西 | 大阪、京都、和歌山 |
中国 | 鳥取 |
四国 | 徳島、香川、高知 |
九州・沖縄 | 熊本、大分、沖縄 |
オンライン申請と窓口での申請の対象手続きをまとめると以下のようになります。
まとめ
項目 | 申請 | オンラインで申請 | 窓口
---|---|---|
更新(切替)手続き | ※条件を満たす場合のみ | 可能可能 |
新規発給手続き | 不可 | 一部の地域のみ可能 |
再発行手続き | 不可 | 可能 |
記載事項変更手続き | 不可 | 可能 |
オンラインのパスポート申請はいつから?
パスポートのオンライン申請は2023年3月27日から開始されました。
実は国内でのパスポートのオンライン申請ができるようになるのは2回目。
2004年3月から2006年9月までオンライン申請をできたのですが、この期間中にオンライン申請したのは310件のみでほとんど使われず…
オンライン申請のシステムの維持には年間8億円もかかっていたので、経費がかかりすぎているということで、開始から2年間で終了したという過去があります。
なぜ使われなかったかというと、当時は
- 住民基本台帳カード
- カードリーダー
を自分で用意する必要があったから。
2006年時点で、住民基本台帳カードが交付された枚数が141万枚だったので、そもそもオンライン申請をできる条件を満たしている人が少なかったのです。
ですが、2023年3月以降のオンライン申請に必要なのは
- マイナンバーカード
- スマホ
の2つのみ。
マイナンバーカードはすでに国内で累計9,500万枚以上交付されており、日本国内に住む75%が持っていることになります。
また、わざわざカードリーダーを用意する必要はなく、ほとんどの国民が持っているスマホがあればOKなので手軽です。
今持ってるものだけでオンライン申請できるから、以前のように全然使われなく終わるという状況はなさそう。
パスポートのオンライン申請のメリット
続いてパスポートセンターの窓口に行かずに、オンライン申請をするメリットを紹介します。
手続きのために窓口に行かなくていい
以前までパスポートの手続きには、パスポートセンターに行き、本人確認書類を持参し、申請書に手書きをして窓口に提出。
そして、数日後以降に再度パスポートを受け取りに行く必要がありました。
そのため、手続きのために1回。
受け取りのために1回の計2回行く必要がありました。
オンライン申請の場合は、手続きはスマホで完了するので、パスポートセンターに行くのは受け取りの1回のみになります。
クレジットカートで支払うことができる
以前までパスポートセンターの窓口で手数料を支払う際は現金のみしか受け付けてくれませんでしたが、オンライン申請をする場合はクレジットカードによる支払いになります。
支払金額に合わせて、各種クレジットカードのポイントも貯まるのでいいですよね。
スマホのカメラで撮影した写真を使える
パスポートは公的な書類なので、以前までは証明写真機等で撮影する必要がありました。
一応、スマホやカメラで撮影した写真でもOKでしたが、パスポートの規定サイズを厳密に守らないといけないために、普通の人は証明写真機に頼ってました。
パスポートの更新に必要なのは1枚でいいのに、数枚が一緒になった写真を700円ぐらいかかっていましたよね。
その点、オンライン申請の場合はスマホのカメラで撮影すればいいだけなので、手軽ですし、お金もかかりません。
オンライン申請はいつでもできる
今までは、パスポートセンターが営業している平日の短い時間内に行く必要があり、窓口で日曜日は受け取りのみの対応で、申請はできませんでした。
なので、平日に働いている人は手続きに行くのが大変な場合も多かったです。
オンライン申請は、曜日や時間関係なくできるので、平日・休日、早朝・深夜などいつでも申請することができます。
また、窓口での待ち時間もないので、自分が都合がいい時間にサクッと申請することが可能です。
まとめ
項目 | 申請 | オンラインで申請 | 窓口
---|---|---|
窓口に行く回数 | 1回 (受け取りのみ) | 2回 (申請+受け取り) |
支払い方法 | クレジットカード | 現金 |
写真 | スマホのカメラで撮影 | 証明写真機で撮影 |
申請時間 | いつでもOK | パスポートセンターの営業時間内 |
国内からパスポートをオンライン申請する
日本国内からパスポートのオンライン申請をする場合に必要なものと、流れを簡単に紹介します。
必要なもの
国内でパスポートのオンライン申請に必要なものは以下の3つです。
- パスポート(有効期限内)
- マイナンバーカード
- スマホ(マイナンバーカード読み取り対応)
手続きをするためにマイナポータルアプリを事前にインストールしておきましょう。
手順
オンライン申請の手順は以下のような流れになります。
外務省が動画にまとめてくれているので、参考にしてください。
海外からパスポートをオンライン申請する
海外に住んでいる人も、パスポートの更新手続きの際にはオンライン申請ができます。
国内でオンライン申請するのと同じように
- パスポート(有効期限内)
- スマホ(マイナンバーカード読み取り対応)
の2つが必要です。
また国内とは違い、マイナンバーカードは必要ないですが、在留届オンライン(ORRネット)への登録が必要です。
登録した上で「パスポート申請(会議在留邦人用)」というアプリから申請ができます。
国内と同様に外務省がYouTubeに動画をアップしているので参考にしてください。
パスポートのオンライン申請の開始と同時に変更されたこと
パスポートのオンライン申請の開始と同時に、2023年3月以降に以下の3つの点が変更されました。
こちらも大事なことなので、この記事で簡単に解説します。
査証欄の増補廃止
たくさんの国に行く人は、パスポートの査証欄を増やすことができる「増補」ができましたが、廃止されました。
その代わりに、査証欄がいっぱいになった人は「残存有効期間同一旅券」か「新しいパスポート」に切り替える必要があります。
戸籍謄本の提出が必須
以前までパスポートを発給したり、切り替える際には「戸籍謄本または戸籍妙本」のいずれかを提出する必要がありました。
ですが、2023年3月以降は「戸籍妙本」は受け入れられず、「戸籍謄本」の提出が必要になります。
パスポートを発給して期限内に受け取らなかった場合に手数料が高くなる
パスポートを発給して6カ月以内に受け取らなかった場合は、そのパスポートは法律に基づき失効します。
そして、失効後5年以内に新しくパスポートを発給する場合、通常よりも手数料が6千円高くなります。
種類 | 通常手数料 | ペナルティ手数料 |
---|---|---|
10年間パスポート | 16,000円 | 22,000円 |
5年間パスポート (12歳以上) | 11,000円 | 17,000円 |
5年間パスポート (12歳未満) | 6,000円 | 12,000円 |
パスポートのオンライン申請に関するよくある質問
- オンラインのパスポート申請と窓口で手数料の金額は違いますか?
-
どちらも同じです。窓口では現金でしたが、オンライン申請をする場合はクレジットカードによる支払いになります。
- 自分の持っているスマホが古くてマイナンバーカードを読み取ることができないのですが、どうすればいいですか?
-
古いスマホではオンライン申請はできないので、スマホを買い換えるか、パスポートセンターの窓口に行って手続きするしかありません。
パスポートのオンライン申請まとめ
2023年3月27日から始まったパスポートのオンライン申請について紹介しました。
現在はパスポートの更新のみしかできませんが、今後は新規発給や再発行にも対応してほしいですね。
また、いくつかの国ではオンラインでパスポートの申請をした後にパスポートを郵送されている国も多いので、日本もいずれはそうなってほしいものです。